寒造之事
一、当流寒造り定法。六斗元、掛三ツなり。風味甘口にして尻口しやんとする物也。
一、寒造り第一、半切数之事、第二、元日数之事、第三、温め引時分之事、第四、強き造り掛之事、第五、荒掛時しる事、第六、渡しへ打事、第七、口張事、第八、揚前之事。
一、元米性好米、一限白く搗くへし。淅の荒井も一入念を入へし。古実に曰元米黒く或ハ洗ひ等粗相なれハ、酒の風味賤敷、足弱く候。
一、米元三日漬也。掛け米同前也。古実ニ曰寒中勿論、寒前後九十日、三日漬能候
一、元麹、米四割、花を付へし。掛麹ハ米三割、白花たるへし。古実ニ曰白花麹、酒の風味しやんとす。粕のためによく候。
一、元水、壱斗弐升水にすへし。古実ニ曰前日に汲て、泥をいさせて仕込へし。
一、元食之事。能蒸し取、醒切て仕込へし。
一、十一月の節後は二階に元すへし。故実ニ曰寒気之説土は温かに候。依之、下ハ不宜候。
一、半切数之事。六斗元、半切四枚たるへし。
一、元掻様之事。朝・昼・晩一日に三度つつかくへし。古実二曰初はらはらする間ハ、手にて掻へし。なれてとろりと成時、櫂にて掻へし。掻に軽き時ハ、味付としるへし。
一、元つぼめ前日数之事。元日数廿日前後にて必ずつぼむへし。若、急きならハ、十八、九日ても不苦。緩々にても廿日以上ハ延かたし。古実ニ曰廿日内外の寒元ハ漸とろりと成、味付たる迄也。就中極寒の節ハ、未麹臭く味不熟也。如此にても日数廿日前後に至り候へハ、つぼめて吉なり。惣前当流、半切にて沸せ候事、大きに嫌ふ。
一、つぼめ様の事。元壺代に移し、莚二,三枚にて包ミ、同二,三枚蓋にして置へし。
一、温め入様之事。湯を滾らせ、一日に一本宛、大体三日に三本程入へし。勿論入替る度毎に掻合せ、温ミ群なく入渡る様に仕へし。一度一度包ミ莚・蓋莚右のことく念を入へし。但し温め数ハ好ミ次第たるへし。
一、温め引加減の事。鏡泡立渡り、醪頬四,五寸上る時引へし。此時包莚・蓋莚取除申候。最早掻不申候。古実ニ曰温ハ泡の上り様好ミ次第たるへし。惣而泡上り兼、粘気有之元ハ、酒に造りて後も粘りて悪敷候。依之、自然温め上り過、七、八寸・一尺迄も上る事有之候とも、危むへからす。過たるハ不苦候。
一、枯し日数之事。七日以上十四、五日迄ハ大体也。自是以上三十日に及時ハ、大枯しという。古実ニ曰枯し元味之事。七日以上十四、五日迄ハ甘・渋・酢。此時造れハ甘口也。自是以上三十日に及候ヘハ、渋・辛強く酢少し。此時造れハ辛口に出来申候。
童蒙酒造記巻三目録 (江戸期 貞享年間頃)
一、当流寒造り定法。六斗元、掛三ツなり。風味甘口にして尻口しやんとする物也。
一、寒造り第一、半切数之事、第二、元日数之事、第三、温め引時分之事、第四、強き造り掛之事、第五、荒掛時しる事、第六、渡しへ打事、第七、口張事、第八、揚前之事。
一、元米性好米、一限白く搗くへし。淅の荒井も一入念を入へし。古実に曰元米黒く或ハ洗ひ等粗相なれハ、酒の風味賤敷、足弱く候。
一、米元三日漬也。掛け米同前也。古実ニ曰寒中勿論、寒前後九十日、三日漬能候
一、元麹、米四割、花を付へし。掛麹ハ米三割、白花たるへし。古実ニ曰白花麹、酒の風味しやんとす。粕のためによく候。
一、元水、壱斗弐升水にすへし。古実ニ曰前日に汲て、泥をいさせて仕込へし。
一、元食之事。能蒸し取、醒切て仕込へし。
一、十一月の節後は二階に元すへし。故実ニ曰寒気之説土は温かに候。依之、下ハ不宜候。
一、半切数之事。六斗元、半切四枚たるへし。
一、元掻様之事。朝・昼・晩一日に三度つつかくへし。古実二曰初はらはらする間ハ、手にて掻へし。なれてとろりと成時、櫂にて掻へし。掻に軽き時ハ、味付としるへし。
一、元つぼめ前日数之事。元日数廿日前後にて必ずつぼむへし。若、急きならハ、十八、九日ても不苦。緩々にても廿日以上ハ延かたし。古実ニ曰廿日内外の寒元ハ漸とろりと成、味付たる迄也。就中極寒の節ハ、未麹臭く味不熟也。如此にても日数廿日前後に至り候へハ、つぼめて吉なり。惣前当流、半切にて沸せ候事、大きに嫌ふ。
一、つぼめ様の事。元壺代に移し、莚二,三枚にて包ミ、同二,三枚蓋にして置へし。
一、温め入様之事。湯を滾らせ、一日に一本宛、大体三日に三本程入へし。勿論入替る度毎に掻合せ、温ミ群なく入渡る様に仕へし。一度一度包ミ莚・蓋莚右のことく念を入へし。但し温め数ハ好ミ次第たるへし。
一、温め引加減の事。鏡泡立渡り、醪頬四,五寸上る時引へし。此時包莚・蓋莚取除申候。最早掻不申候。古実ニ曰温ハ泡の上り様好ミ次第たるへし。惣而泡上り兼、粘気有之元ハ、酒に造りて後も粘りて悪敷候。依之、自然温め上り過、七、八寸・一尺迄も上る事有之候とも、危むへからす。過たるハ不苦候。
一、枯し日数之事。七日以上十四、五日迄ハ大体也。自是以上三十日に及時ハ、大枯しという。古実ニ曰枯し元味之事。七日以上十四、五日迄ハ甘・渋・酢。此時造れハ甘口也。自是以上三十日に及候ヘハ、渋・辛強く酢少し。此時造れハ辛口に出来申候。
童蒙酒造記巻三目録 (江戸期 貞享年間頃)
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